LoRaWAN® 対応 屋内小型温度・湿度センサー ELmote® EM-ELHT01の製品マニュアル(公式)です。
製品カタログは、ここからダウンロードできます。
当社ECショップで販売もしております。
本製品は、Dragino Technology Co., LTD.による当社ブランドOEM製品です。
LHT65Sを日本向けに設定しており、技術適合証明も取得しております。
そのため、LHT65Sと機能差はありません。詳細は、LHT65Sの公式マニュアルに譲ります。
本マニュアルでは、主な機能と特徴について説明をします。
本製品 EM-ELHT01は、LoRaWAN通信対応の屋内向け温度・湿度センサーデバイスです。
より電波到達距離を広くするために本体の大きさに似つかわしくないサイズのアンテナが付属しています。
温度・湿度センサーが本体に内蔵されていますが、それ以外のセンサー(温度、照度、PIRなど)を外付けすることが可能です。
新たにデータログ機能が備わりました。LoRaWAN通信エリア外でセンシングされたデータを、後からLoRaWAN通信経由で取得することができます。
また、LoRaWANデバイスとしては珍しく、マルチサンプリングしてまとめてデータを送る「マルチサンプリングまとめてアップリンク機能」が実装されています。
多くの場合、サンプリングとアップリンクは同じタイミングです。よって、サンプリング回数を増やしたい場合は、必然的にアップリンク回数も増えて、
消費電力が多くなってしまいます。”比較的短い間隔でサンプリングだけはしておいて、通知は間を開けて良いよ!”なんて時に有効です。
外付けセンサーには、以下のようなものがあります。
これ以外に、デバッグ用ケーブルもあります。
また、接点やADCを応用して、さまざまな外付けセンサーも開発可能です。
外付けセンサーがどのセンサーであるかを正しく認識させるために、デバイスへの明示的な設定が必要になります。
以降、外付けセンサーのモードのことを、Extと呼ぶこととします。
Note: 照度センサーとPIRセンサーについては、それぞれのファームウェアのインストールが必要で。
BH1750 照度センサーを利用。
RDB223 センサーを利用。
無電圧接点として利用可能です。
AD変換用のケーブルです。
新たにデータログ機能が備わりました。LoRaWAN通信エリア外でセンシングされたデータを、後からLoRaWAN通信経由で取得することができます。
例えば、HACCP対応のソリューションとして適用可能です。工場、倉庫、配送車、配送エリアの全てにLoRaWANカバレッジを敷設することが難しい場合に、
データログ機能はその威力を発揮します。
なお、データログ機能は常に有効であり、データは保存されます。(但し、最大3328レコード)
デバイスに保存されたログデータを、2種類の方法で取得可能です。
方法1. ダウンリンクコマンドで上位から明示的に取得する
方法2. 事前設定により自動でアップリンクさせる
ダウンリンクコマンドでは、Unixタイムスタンプベースで取得期間(From/To) と、
データをアップリンクさせたいアップリンク間隔を設定します。
形式 (バイト数) | ヘッダ(1) | タイムスタンプ - From (4) | タイムスタンプ - To (4) | アップリンク間隔 (2) |
---|---|---|---|---|
例 | 0x 31 | 0x 65154EA0 | 0x 6515B110 | 0x 05 |
この例は
と言う意味になります。
2つ目と3つ目のパラメタは、お馴染みの年月日時分秒から、Unixタイムスタンプ(10進数)に変換し、それをさらに16進数へ変換します。
4つ目のパラメタの単位は秒(s)です。5秒から255秒までを設定可能です。
(参考)年月日時分秒 <-> Unixタイムスタンプの変換ツール: EpochConverter
(参考)10進数 <-> 16進数変換ツール: 2進数、8進数、10進数、16進数相互変換ツール
この機能を利用する場合は、まず事前に本機能を有効にするモード(AT+PNACKMD=1)に設定する必要があります。
設定後、デバイス内では、アップリンクデータに対して、ACKかNon-ACKであったかのヘッダ情報をつけて保存します。
LoRaWAN通信エリア内に入る(あるいは通信インフラが復旧した場合など)と、すべてのNon-ACKフラグのついたデータを(10秒間隔で)アップリンクします。
取得されるデータペイロードは、1レコードあたり11バイトのデータで構成されています。
データレート(DR)によって、1回のアップリンクで取得されるレコード数が異なります。少なくとも1回のアップリンクで1レコードが取得されます。
対象となるレコードがない場合は、11バイトすべて0x00のデータがアップリンクされます。
形式 (バイト数) | 外付けセンサーデータ(2) | 内蔵温度センサー (2) | 内蔵湿度センサー (2) | フラグとExt (1) | タイムスタンプ(4) |
---|---|---|---|---|---|
例 | 0x 0000 | 0x 0AEB | 0x 01F8 | 0x 44 | 0x 651D14DA |
外付けセンサーの値: 0x0000 = 0(Open状態)
内蔵温度センサーの値: 0x 0AEB = 2795 = 27.95℃
内蔵湿度センサーの値: 0x 01F8 = 504 = 50.4 %
フラグとEx: 0x 44 (後述)
タイムスタンプ: 0x 651D14DA = 1696404698 = 2023年10月4日 水曜日 16:31:38 GMT+09:00
ペイロードの7バイト目の1バイト「フラグとEx」の意味を説明します。
ビット | 7 | 6 | 5 | 4 | [3;0] |
---|---|---|---|---|---|
意味 | ACK or Non-ACK | ポーリングによるアップリンクか否かのフラグ | 時刻同期フラグ | 時刻同期リクエストフラグ | 外付けセンターのモード Ex |
最上位ビット(7ビット)目は、当該メッセージがACKであったか?Non-ACKであったかを表しています。(AT+PNACKMD=1が設定されている場合の機能です。)
0はNon-ACKで、1はACKを意味します。
6ビット目は、当該アップリンクが、ダウンリンクコマンドによるものなのか否かを表しています。ダインリンクコマンドによって取得されたアップリンクデータであれば、1となります。
0の場合は、通常のアップリンクであることを示しています。
5ビット目の時刻同期フラグについてです。デバイスがジョインした際に、デバイスからサーバに向けて時刻同期リクエストが送られます。この時、この値は0に設定されます。サーバから時刻(タイムスタンプ)を受け取るまでは0のままで、時刻を受け取ると1に設定されます。
4ビット目は、時刻同期リクエスト中か否かを表しています。1であればリクエスト中です。10日毎に1に設定されます。
3ビット目〜0ビット目は、外付けセンサーのモード Extの値です。
これを踏まえて、例となっている0x44を解釈してみます。
0x 44 = 1000 1000 (b) なので、当該アップリンクは、
ことを意味しています。
これまでの説明にある通り、データログ機能では時刻がキーとなります。
デバイスの時刻設定には、二つの方法があります。
通常はデバイスがジョインする際に、LoRaWAN MACコマンドで、サーバ側とやりとりしてサーバから時刻をもらう方法です。デフォルトではこの方法が実行されます。
もう一つは、ユーザ自身で直接デバイスに時刻を設定する方法があります。
前者の方法では、ジョイン時だけでなく定期的に時刻同期を行います。(デフォルト10日毎です)
但し、この機能が動作するLoRaWANサーバは、LoRaWAN v1.0.3以上である必要があります。TTN (The Things Stack Community Edition)は、当該機能をサポートしています。
LoRaWANデバイスとしては珍しく、マルチサンプリングしてまとめてデータを送る「マルチサンプリングまとめてアップリンク機能」が実装されています。
多くの場合、サンプリングとアップリンクは同じタイミングです。よって、サンプリング回数を増やしたい場合は、必然的にアップリンク回数も増えて、
消費電力が多くなってしまいます。”比較的短い間隔でサンプリングだけはしておいて、通知は間を開けて良いよ!”なんて時に有益です。
この機能を利用する際にATコマンド/ダウンリンクコマンドで設定をするパラメタが7つあります。
パラメタ | 意味 |
---|---|
パラメタ1 | 当該機能のモードを表す値 3 |
パラメタ2 | 対象とする温度センサーの種類(1:外付けDS18B20;2:外付けTMP117;3: 内蔵GXHT30) |
パラメタ3 | サンプリング間隔(秒)で、255秒までを指定可能 |
パラメタ4 | 1回のアップリンクで送るサンプリングデータ数(最大60) |
パラメタ5 | アラームとして検知させる温度(℃)の閾値の下限 |
パラメタ6 | アラームとして検知させる温度(℃)の閾値の下上限 |
パラメタ7 | アラーム検知有効フラグ(0: 無効、1: 有効)。有効の場合、パラメタ5と6の範囲外の温度が検知された場合、即座にアップリンクされる |
ATコマンド(AT+WMOD)、ダウンリンクコマンド(0x A5)の両方で設定が可能です。
ATコマンド | ダウンリンクコマンド | 意味 |
---|---|---|
AT+WMOD=3,1,60,20,-16,32,1 | 0x A5 03 01 003C 14 FFF0 0020 01 | 外付け温度センサー(DS18B20)に対して、1分間隔でサンプリングし、20データを1回でアップリンクする。また、温度が-16〜32℃の範囲外になったら即座にアップリンクする |
通常アップリンクのインタバルが10分間隔だとします。
この設定をした場合、温度が常に-16〜32℃の範囲内であれば、10分間隔で10個のデータ(つまり1分間隔のデータ)が1回のアップリンクで届くことになります。
また設定温度範囲を超えた場合は、即座に通知されます。
電池の消耗を抑えつつ、いざという時に知らせてもらう
そんな要望に応えることができる機能です。
上述のコマンドに対するアップリンクは、Fport=3で通知され、ペイロードの形式は次の通りです。
形式 (バイト数) | 電池電圧(2) | 温度センサー種別 (1) | 温度1 (4) | 温度2 (4) | ---- | 温度n (4) |
---|---|---|---|---|---|---|
例 | 0x CBEA | 0x 01 | 0x 0992 | 0x 0A41 | ---- | 0x 09C4 |
但し、データレート(DR)の設定に従い、自動的にアップリンクペイロード長が調整されます。
EM-ELHT01 温度湿度センサー x1
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