ELmote® LPWAN Provisioner

ユーザマニュアル

バージョン: 1.0.0
最終更新: 2025-11-28


目次

  1. はじめに
  2. 初期設定
  3. 基本的な使い方
  4. 各画面の説明
  5. トラブルシューティング

1. はじめに

1.1 LPWAN Provisioner とは

LPWAN Provisioner は、LoRaWAN® デバイスを The Things Stack (TTS) に登録するまでのプロセスを自動化するデスクトップアプリケーションです。

主な機能:

  • シリアル通信によるデバイス情報の読み取り
  • ATコマンドによるデバイス設定
  • The Things Stack へのデバイス登録(単一/バッチ)
  • デバイス設定情報の記録・保存

1.2 動作環境

  • macOS 10.15 以降
  • USB-TTL シリアルケーブル
  • The Things Stack アカウントおよび API キー
  • Dragino社のLoRaWAN® デバイス(v1.0.0時点)

2. 初期設定

アプリケーションを使用する前に、以下の設定を行ってください。

2.1 設定画面を開く

サイドメニューから「設定」をクリックします。

Config

2.2 The Things Stack 設定

項目 説明
サーバーURL TTS サーバーの URL https://eu1.cloud.thethings.network
API キー TTS コンソールで発行した API キー NNSXS.xxx...
オーナーID ユーザー ID(オプション) user-id
クラスターID 使用するクラスター eu1, nam1, au1
エンタープライズ エンタープライズ版の場合は ON OFF

API キーの取得方法(例):

  1. TTS SandBoxコンソール (https://eu1.cloud.thethings.network/console) にログイン
  2. ユーザーメニュー → API Keys → Add API Key
  3. 以下の権限を付与:
    • applications (読み取り/書き込み)
    • devices (読み取り/書き込み)

設定後、「接続テスト」ボタンで接続を確認し、「保存」をクリックします。

2.3 シリアルポート設定

項目 デフォルト値 説明
ボーレート 9600 デバイスに合わせて設定
データビット 8 通常は 8
パリティ なし (N) 通常は N
ストップビット 1 通常は 1
タイムアウト 5000ms 応答待ち時間

設定後、「保存」をクリックします。


3. 基本的な使い方

デバイスを TTS に登録する基本的な流れを説明します。

3.1 作業フロー

1. デバイスを USB-TTL ケーブルで接続
       ↓
2. ターミナル画面でポートに接続
       ↓
3. デバイス情報を読み取り(AT+CFG)
       ↓
4. セッションを作成
       ↓
5. TTS 登録画面でデバイスを登録
       ↓
6. 登録完了を確認

3.2 デバイスの接続と情報読み取り

  1. デバイスを接続: USB-TTL ケーブルでデバイスと Mac を接続
  2. ターミナル画面を開く: サイドメニューから「ターミナル」を選択
  3. ポートを選択: ドロップダウンからシリアルポートを選択
  4. 接続: 「接続」ボタンをクリック
  5. 認証: パスワードが必要な場合は入力、不要な場合は「パスワード不要」を選択
  6. デバイス情報読取: 「デバイス情報読取 (AT+CFG)」ボタンをクリック

Terminal1

3.3 TTS への登録

  1. ターミナル画面下部またはTTS登録画面から登録を実行
  2. アプリケーション ID: 登録先のアプリケーション ID を入力
  3. プリセット: 使用するプリセットを選択
  4. 登録: 「登録」ボタンをクリック

Terminal2


4. 各画面の説明

4.1 デバイス管理画面

読み取ったデバイスのセッションを一覧管理する画面です。

Device

統計情報:

  • 総セッション数: 登録済みのセッション総数
  • 設定完了: 設定変更が完了したデバイス数
  • 登録完了: TTS への登録が完了したデバイス数
  • エラー: エラーが発生したデバイス数

操作:

  • 詳細: セッションの詳細情報を表示
  • 削除: セッションを削除
  • 更新: 一覧を最新状態に更新
  • 完了済みクリア: 登録完了セッションを一括削除

4.2 プリセット管理画面

デバイス登録に使用するプリセットを管理する画面です。

Preset

プリセット設定項目:

項目 説明
プリセット名 プリセットの識別名
説明 プリセットの説明文
周波数プラン 日本向けは Japan 920-923 MHz (推奨)
LoRaWAN バージョン MAC V1.0.3 など
PHY バージョン PHY V1.0.3 REV A など
Regional Parameters RP001 1.0.3 REV A など
Class C サポート Class C 対応デバイスの場合は ON
デバイスID プレフィックス 例: veinz-

操作:

  • 新規作成: 新しいプリセットを作成
  • 編集: 選択中のプリセットを編集
  • 複製: プリセットをコピーして新規作成
  • 削除: プリセットを削除

4.3 ターミナル画面

シリアルポート経由でデバイスと AT コマンドで対話する画面です。

Terminal1

シリアルポート接続:

  • ポート: 利用可能なポートを選択
  • 切断/接続: ポートの接続/切断
  • ポート更新: ポート一覧を再取得
  • 再認証: パスワード認証を再実行

クイックアクション:

  • デバイス情報読取 (AT+CFG): デバイス設定を読み取りセッションを作成
  • プリセット適用: 登録済みプリセットの AT コマンドを実行
  • AT: AT コマンドで接続確認
  • DevEUI確認: DevEUI のみを取得

ターミナル:

  • AT コマンドを直接入力して送信可能
  • 自動スクロール ON/OFF 切り替え
  • クリアボタンで出力をクリア

TTS 登録パネル(画面下部):

ターミナル画面の下部には TTS 登録パネルが統合されており、デバイス情報を読み取った後、画面を切り替えることなくそのまま TTS に登録できます。

Terminal2

  • 登録対象セッション: 読み取ったセッションを選択(全選択/選択解除ボタンあり)
  • アプリケーション ID: 登録先の TTS アプリケーション ID
  • プリセット: 使用するプリセットを選択
  • 登録ボタン: 選択したデバイスを TTS に登録

この統合パネルにより、デバイスの読み取りから TTS 登録までをターミナル画面だけで完結できます。

4.4 TTS 登録画面

デバイスを The Things Stack に登録する画面です。

TTS

登録モード:

  • 単一登録: 1 台ずつ登録
  • バッチ登録: 複数台を一括登録

登録設定:

  • アプリケーション ID: TTS のアプリケーション ID(小文字)
  • プリセット: 使用するプリセット
  • デバイスセッション: 登録するセッションを選択

4.5 ログ画面

アプリケーションのログを確認する画面です。

Log

機能:

  • ログファイル: 日付別にログファイルを選択
  • フィルタ: ログの種類でフィルタリング
  • ログレベル: 表示するログレベルを選択
  • 更新: ログを最新状態に更新
  • コピー: ログ内容をクリップボードにコピー
  • 表示クリア: 表示をクリア

4.6 設定画面

アプリケーションの設定を行う画面です。

Config

詳細は 2. 初期設定 を参照してください。


5. トラブルシューティング

5.1 シリアル通信の問題

症状 原因 対処法
ポートが表示されない ケーブル未接続 USB ケーブルを再接続し「ポート更新」をクリック
接続後に応答がない ボーレートが違う 設定画面でボーレートを変更(9600, 115200 など)
AT_ERROR が返る パスワード認証の問題 「パスワード不要」モードを試す
タイムアウト デバイスが応答しない タイムアウト値を増やす、ケーブルを確認

5.2 TTS 登録の問題

症状 原因 対処法
認証エラー (401) API キーが無効 設定画面で API キーを確認
権限エラー (403) API キーの権限不足 TTS コンソールで権限を追加
重複エラー (409) 同じ DevEUI が存在 TTS コンソールで既存デバイスを削除
Application ID エラー 大文字が含まれている 小文字のみを使用

5.3 よくある質問

Q: パスワードが分からない
A: デバイスのデフォルトパスワードはメーカーのマニュアルを参照してください。パスワードが不要なデバイスもあります。

Q: 登録したデバイスが TTS コンソールに表示されない
A: ブラウザを更新するか、正しいアプリケーション内を確認してください。

Q: バッチ登録で一部失敗した
A: デバイス管理画面でエラーのセッションを確認し、個別に再登録してください。


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